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2025年7月21日
【2025年】パブリッククラウドの選び方【令和最新版】

今や各種システムの構築基盤として多くの企業で第1選択とされるようになったパブリッククラウドですが、皆さんの会社では主要なサービスをどのように使い分けていますでしょうか。

または営業やエンジニアの方であればお客様からクラウドの選択について相談を受けた際にどのように回答されてますでしょうか。

この記事では主要なパブリッククラウドの特徴と、パブリッククラウドを選択する上でのポイントを解説していきます。

インターネット上には同種の記事はたくさんありますが、微妙に古かったり(この業界では3年も経てば状況変わってたり…)しますので、ぜひ本記事もご覧ください。

「パブリッククラウド」とは広く一般に向けてサービス事業者がサーバーやネットワーク、プラットフォームなどの各種サービスをインターネット越しに提供する形態のクラウドサービスを指します。

対義語としては特定企業や組織ごとに専用環境を提供する「プライベートクラウド」があります。

2025年現在は圧倒的にパブリッククラウドの利用が多く、一般的にITサービスの文脈で「クラウド」と呼ぶとこの「パブリッククラウド」を指すことが普通です。

本記事でも「クラウド」や「クラウドサービス」と呼ぶ場合はこの「パブリッククラウド」のことだとお考えください。

パブリッククラウドはサーバーやストレージなどのリソースを提供するサービスが中心となり、複数の機能を組み合わせて提供するものがほとんどですが、特に大規模・かつ多様なサービスを提供している以下の大手3サービスがよく使われています。

  • Amazon Web Servies(略称AWS):米・アマゾン社
  • Microsoft Azure:米・マイクロフト社
  • Google Cloud(旧GCP):米・グーグル社

シェアも(若干低下傾向ではありますが)この大手3サービスでグローバル市場のおおよそ2/3を占めている状況です。日本市場も概ね同様です。

では本記事の本題ですが、これらのクラウドサービスはどのように選択するのが妥当でしょうか。

一般的に最大手3社は、提供機能のラインナップ、価格、サポート内容などで概ね似通っており、正直なところ大きな差はないというのが現状です。

日本国内ではシステム開発はSIerなどの外部専門業者に委託することが多いと思いますので、それらの会社が得意なプラットフォームを指定するというのが選択パターンとしては多いのではないでしょうか。

とはいえ、自社で内製する場合や顧客から相談された場合に回答が必要になるケースもあるかと思いますので、以下に一般的な目安を記載しておきます。

シェア1位。提供するサービスラインナップが広く、迷ったときはAWSを選択しておけば後々困ることが少ないです。

トップシェアのため構築ベンダーやインターネット上の記事も最も多く、調べたり相談すればなんとかなるという点も大きなメリット。
(あとなぜか関西では関東に比べてAWSのシェアが特に高い気がします…)

余談ですが、弊社もパブリッククラウドはAWSをメインに利用しています。

シェア2位。こちらもサービスラインナップはAWSと遜色なく、コスト面も大きく変わりません。

マイクロソフト社が提供するためWindowsに関連したサービスに強く、WindowsやMicrosoft 365との連携、Windows Serverで色々やりたいということであればこちらを選択したほうが細かい仕様で有利なこともあるかと思います。

シェア3位。大手2社よりは後発のため、リージョン数やサービスラインナップではやや劣る印象です。
(とはいえ、日本国内で普通に利用する分には何ら困ることはありません。)

特徴としてはGoogleのクラウドサービスらしく、AI関連やデータ分析等の処理系サービスが充実しています。
Googleが開発する生成AI(LLM)であるGeminiもAPI利用できますので、このあたりに価値を感じる方はGoogle Cloudを選択する理由になるのではないでしょうか。

その他、日本国内では以下の様なサービスも選択される機会があります。

機能的には外資大手ほどではありませんが、運営元・データの保管先ともに日本企業の管理下にあることが確約されていますので金融機関などで選択されることがある印象です。

また、これらのIT企業にシステム開発を依頼した場合、自然と自社プラットフォームとして利用される機会も多いと思います。

最近採用が増えてきている印象のサービス。後発のため大手3社に比べて価格を低く抑えており、大規模環境であれば必然的にコストメリットが出てきます。

また、オラクル社なので当然データベース系のサービスは充実しており、大規模なデータベースを必要とする場合はコストだけでなく性能面でOCIが選択されることもあります。

現在、日本政府(デジタル庁)が推進している行政系システムのクラウド化に際して、政府が定める仕様を満たすクラウドサービスを「ガバメントクラウド(略称ガバクラ)」として指定していますが、日本企業として(条件付きではあるものの)唯一採択されているのがこのさくらのクラウドです。

※条件付き、とあるのは採択時点では機能等が十分ではなく今後必要な機能等を備えることを前提に採択されているからです。

※ガバクラの詳細についてはこちらにまとまっています。(デジタル庁HPが開きます)
https://www.digital.go.jp/policies/gov_cloud

また、中国については政府方針により外国クラウドサービスを直接利用することが難しく、中国企業が展開するAlibaba CloudHuawei CloudTencent Cloudなどがシェアトップとなっています。

AWSなども中国向けにサービスを展開していますが、中国専用テナントを中国現地法人名義で契約する必要があるなどクラウドサービスとしては制約が多く、日本リージョンなどの相互通信にも制約が多いためグローバル市場のようなシェア獲得には至っていないのが現状です。

※中国とのネットワーク接続やデータの越境移転については中国側の法規制も年々厳しくなっていますので、正確な知見を持った専門企業に最新の状況について相談されることを強くおすすめします。

ここまで、「パブリッククラウドの選択」というテーマで記載してきましたが、パブリッククラウドは各サービスごとに一長一短があるため、1企業でも複数のクラウドを組み合わせて利用する「ハイブリッドクラウド」という考え方が主流になってきています。

ハイブリッドクラウドでは、各クラウドごとに得意とする機能を分散して利用することでコストや性能の面でもメリットが享受できることがポイントになります。

その一方で単一クラウドサービス利用では気にすることのなかった、クラウドサービスを相互に接続するネットワークの構成やセキュリティレベルの担保、監視の統合など管理面において考慮する必要が余分に発生することは見逃せません。

  • 迷ったときはAWS、Azure、Google Cloudの最大手3社から選べば間違いなし
  • やりたいことが明確なら国産クラウドやOCIなど3社以外のクラウドにもメリットあり
  • 複数クラウドの組み合わせはメリットも多いが管理面の考慮も必要

パブリッククラウドは企業が構築する様々なシステムの基盤となるだけに、その選択は慎重に行う必要があることは事実です。


しかしながら、大抵のクラウドサービス間でシステムやデータの移行方法は用意されていますので、ハイブリッドクラウドという考え方と合わせて、迷ったら無難な選択肢を取ってみるという考えでも一旦はよいのではないでしょうか。