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2025年5月15日
【現役営業が解説】RFI・RFPとは? IT業界で頻出の仕組み

新卒や転職でIT業界に営業として飛び込まれた方はもちろん、起業や独立してフリーランスエンジニアとして活躍しようとされている方にとっても営業に関する前提知識や用語の習得は避けて通れないかと思います。

厄介なのが、技術的な用語はGoogle等で調べれば解説記事がたくさん出てくるのに対して、営業的な用語や業界特有の商習慣というのは検索してもあまり有益な情報が出てこなかったりします。

この記事ではシステム開発案件などでよく出てくる「RFI」「RFP」について解説します。

※なお、ここでの「IT業界」というのはシステム開発(いわゆるSIなど)の分野を前提としています。Webや広告、インターネット業の世界はまた異なる部分もあるかと思いますのでご注意ください。

企業や団体でシステムを導入したいとなった場合、

A:【内製】 自分たちでシステムを開発する
B:【外注】 外部の専門家(=システム開発ベンダー)にシステム開発を依頼する

の2パターンが考えられます。

日本企業は(一部の大手企業を除いて)社内にITエンジニアを抱えることが少なく、外注を選択することがほとんどです。
そういった場合に、どんなシステムを作って欲しいのか(「要件」といいます)をベンダーに伝える必要がありますが、その際にRFI・RFPというものが利用されることになります。

ただし、最近は生成AIの利用や社内データのビジネス活用という流れが増えつつあり、そういうシステムにおいては内製が選択される機会も増えてきているようです。

RFIとは”Request for Information”の略で、日本語では「情報提供依頼書」と記載されることが多いです。

これはRFPの前に依頼側の企業からベンダーに出されることがあるもので、各ベンダーがどんなシステムを提案することができるのかを大まかに回答してもらうためのものです。
そのため、このRFIの回答をもって開発の依頼先が決定されることはありません。

例えばある企業が在庫の管理システムを導入したいと考えたとき、いきなり「こういうシステムがほしいからきっちり提案してほしい」という依頼をするのではなく、ほしいと考えている機能や予算を大まかにRFIに書いてベンダーに提示することで、ベンダーからは

  • その要件であれば○○という既成サービスがおすすめです
  • ウチなら同業他社向けに似たようなシステムを納品したことがあります。それはXX万円でした。
  • △△の機能は非常に改修コストがかかるので、少し業務の流れを変えて▲▲のような機能で実現したほうがいいです

といった回答をもらうことができます。

RFIはあくまで「情報提供依頼」ですので、ベンダー側も実現可能性を追求した提案ではなくアイデアレベルだったり、金額も概算レベルに留まることがほとんどです。

それでも依頼側の企業としては各社から出てきた情報を見比べることで、続くRFPの質を高めたり、最適なシステムの方向性を定めることができます。

また、RFIは付き合いのある多数のベンダーに出しておいて、回答内容(質、金額)からRFPの提示先を絞ることも行われます。

なお、先ほど「出されることがある」と書いたように、RFIは必ず発行されるものではないです。
単純なシステムであれば依頼側も最新の仕組みや類似システムの情報収集をする必要もないですし、要件を正確にベンダーに伝えることも問題ないからです。

このように、RFIは比較的大規模・複雑なシステムの導入について、現実的なRFPを作成するために使われるものと思っていただいてよいでしょう。

RFPとは”Request for Proposal”の略で、日本語では「提案依頼書」と記載されます。
(官公庁や自治体の入札では「調達仕様書」などと記載されます。)

こちらはRFPとは異なり、開発してほしいと依頼側の企業が考えている機能や性能、コスト等を網羅した文書となっています。
ベンダーは提示されたRFPに対して、具体的なシステムの構成、機能、費用を正確に提示します。

RFIはあくまで各ベンダーのアイデアや概算費用にとどまるものですが、こちらは実際に提案内容を依頼側企業で精査し、依頼するベンダーを決定するためのものです。そのため、RFPは回答するベンダー側はもちろん、作成する依頼側の企業も正確な内容を記載する必要があります。

もしRFPの内容が不十分で、後から「○○の機能をRFPに書き忘れてたので追加してほしい」と決定したベンダーに伝えても、追加費用を請求されるか、最悪断られることもあり得ます。

RFP自体も大規模なシステムであればWordで数百ページに渡ることもあり、ベンダーからの提案書(回答書)も同様に数百ページになります。
依頼側の企業では複数社から出てきたこれらの提案書や見積書を精査して比較検討する必要がありますので、必然的に相当な労力が発生します。

一方のベンダー側の営業としても依頼側企業への各種質疑、開発エンジニアへの仕様確認や外注先企業との調整など、提案書・見積書の作成までにやるべき調整事項が多岐にわたるため、大規模なシステム提案であれば10名近い営業チームが結成されることもあります。

RFI
RFPの前に発行されるもの。大まかなシステムの要望を伝えて、各ベンダーのアイデアや実績、費用感を回答してもらう。

RFP
ベンダーを決定するもの。正確な機能、性能の要求を列挙し、各ベンダーが具体的なシステムの機能や構成、正式費用を回答する。

RFIとRFPはどちらも依頼側企業がベンダーにシステムの提案を要求するものですが、その目的が異なっています。

本記事ではあくまでRFI・RFPの一般的な解説をしましたが、各フェーズでベンダー側の営業として取りうる戦術は異なってきます。次回以降でその点について取り上げたいと思います。